先進事例集

2021年度受賞施設

「看護業務の効率化先進事例アワード2021」受賞施設の取り組みを、以下よりご覧いただけます。全10施設の事例集(詳細版・概要版)、評価のポイントを掲載しております。また、最優秀賞および優秀賞受賞4施設の取り組み紹介動画もご覧いただけます。

最優秀賞
施設名

東京都立小児総合医療センター(東京都)

タイトル

小児集中治療室で取り組む特定行為実践とタスクシフト~効率的で安全・安心な看護の提供を目指して~

評価のポイント

特定行為研修を修了した看護師の活用による医師業務のタスクシフトにより、看護業務の円滑な遂行と患者へのタイムリーな介入を目指した取り組み。特定行為の実践と医師業務のタスクシフト(①動脈ラインが挿入されている患者の採血ポートからの採血と血液ガス測定②中心静脈ラインと動脈ラインが挿入されている患者のライン交換③気管挿管されている患者の挿管チューブの固定テープ交換)により、年間で約420時間の医師の業務時間の削減、医師の迅速な指示・処置へとつながり、看護師の業務指示待ち時間の削減につながった。その結果、最大で8時間という患者の待ち時間を大幅に削減し、患者にタイムリーな症状緩和を図ることを達成している。また、「待たされる」「ケアができない」「予定通りに進まない」といった看護師の精神的ストレスが軽減した。さらに、医師と看護師が円滑なコミュニケーションを取りながら、患者に必要な治療、処置をタイムリーに提供するだけでなく、異常等の早期発見にもつながった。組織全体で医師から看護師へのタスクシフトに取り組み、成果を上げた点が高く評価された。

【 取り組み紹介動画 】

優秀賞
< 業務改善部門 >
施設名

医療法人和同会広島シーサイド病院(広島県)

タイトル

改善活動の推進による働き続けられる職場環境づくり
~広島県版自己点検ツール「チャレンジ」を活用した3か年に亘る業務改善の取組~

評価のポイント

広島県版自己点検ツールに基づき、3か年計画を立案し、排泄ケアを中心に業務改善を行うとともに、人材育成、職場風土の改善を行い、業務効率化と離職率の大幅な改善(26.8%→4.3%)を実現した。入院患者の約90%がBed Rest(離床時間が1 日2時間以内)を占める同院では、排泄ケアの業務効率化と質向上が最重要課題であった。そこで排泄ケア用品、ケア方法の検討を行い、業務改善を行った結果、排泄ケアに関する1日当たりの業務量は半減し(ケア時間は180分の削減)、年間約150万円の排泄ケア用品購入費用削減を達成した。またスキントラブル発生数も減少し、患者の睡眠確保、安楽に貢献したほか、スキントラブル対応にかかる業務負担も軽減した。さらに、情報共有の工夫、夜勤帯の仮眠休息のためのアメニティ改善等、マネジメントラダー策定や研修内容の充実、ケア応援体制など複合的な取り組みによって、新しい組織作りに成功した。同様の状況下にある施設においては参考になる取り組みである点も評価された。

【 取り組み紹介動画 】

< AI・ICT等の技術の活用部門 >
施設名

社会医療法人柏葉会柏葉脳神経外科病院(北海道)

タイトル

新型コロナウイルス感染症クラスター下での看護記録革命!
~スマホ活用で問題解決~

評価のポイント

スマートフォンを用いた音声入力システムの運用方法を模索していた中で、コロナ病棟での業務負荷と感染拡大防止という課題を絶好の機会と捉え、取り組みの普及(スマートフォン使用率25%→60%)に成功し、看護記録のための時間外勤務時間は約3分の1に減少した。帰宅時間が早くなることで、職員の休息時間の確保が可能となり、クラスター下でも身体的・精神的負担を軽減することができた。また、帳票印刷に使用していた用紙が13,000枚削減され、病室内で完結する業務が増えたことで、レッドゾーンである病室内とグリーンゾーンであるナースステーションへの往来が減少し、感染リスクの低減やPPE(個人防護具)のコストを抑えること等にも寄与した。さらに、病室滞在時間が増え、隔離による不安のある患者へ寄り添う時間の充実にもつながった点などが評価された。

【 取り組み紹介動画 】

< その他の工夫部門 >
施設名

学校法人北里研究所北里大学病院(神奈川県)

タイトル

看護補助者の退職者減少を目指した「看護補助者の拡大チーム」の編成と「看護補助者ラダー」の導入

評価のポイント

「看護補助者の拡大チーム」の編成と「看護補助者ラダー」を用いた教育体制によって、看護補助者の定着と人材の質向上を目指した取り組み。リリーフ体制の強化により他部署への応援件数は2年間で260件増加し、サポートし合う組織文化が醸成された。また、看護補助者の業務の標準化を図るとともに、教育内容の充実により看護補助者のスキルアップを達成した。これらの取り組みによって、看護補助者の離職率を2年間で14.9%→9.2%に減少させることができた。看護補助者の定着およびリリーフ体制の強化により、看護師が看護業務に専念できるようにもなった。看護補助者の定着は多くの施設にとって重要な課題であり、参考となる取り組みである点も評価された。

【 取り組み紹介動画 】

奨励賞
施設名

学校法人日本医科大学日本医科大学千葉北総病院(千葉県)

タイトル

新型コロナウイルス感染症対応病棟における物品搬送ロボットの活用

評価のポイント

新型コロナウイルス感染症対応病棟に物品搬送ロボットを導入し、看護師の業務削減や感染拡大を防止することを目指す取り組み。ロボット導入以前はPPE(個人防護具)を着用しレッドゾーン(病室内)にいる看護師へ物品を手渡し、PPE の着脱までに要する時間は約15分であった。導入後は看護師による物品搬送業務の時間数はゼロになり、6カ月で約414時間の削減となった。また、PPE の消費数も減少し、6カ月で約24万8,250円のコスト削減を達成した。現場の看護師からは「感染曝露の機会が減少した」との声が聞かれ、身体的・精神的負担の軽減の効果も得られた。時宜にかなった取り組みで、看護師の業務負担の削減と安全性の確保に貢献している点、また今後のさらなる展開が期待できる点が評価された。

施設名

社会福祉法人弘陵福祉会特別養護老人ホーム六甲の館(兵庫県)

タイトル

看護師のケアマネジメント力を介護負担軽減と二次障害の予防に活かす
~老人介護施設における看護師の役割とノーリフト推進~

評価のポイント

看護師が移乗介助業務における介護士の腰痛予防や利用者の転倒・褥瘡改善の遅延防止を目指す取り組み。施設内でノーリフトケアを普及・定着させることで、褥瘡発生数やスキントラブルが減少した結果、衛生材料費の削減につながった。また、これまで2人で行っていた移乗介助を1人で行えるようになっただけでなく、スキントラブルの減少により余裕をもって業務を行えるようになった。さらに、介護士からは「腰の負担がとても少なくなった」との声も多く、身体的負担の軽減にも貢献した。介護士の健康状態および利用者の状態改善に成果を上げているほか、看護師がノーリフトケアを学び、委員会等を立ち上げ、計画的に人材育成を行っている点が評価された。

施設名

社会医療法人孝仁会訪問看護ステーションはまなす(北海道)

タイトル

在宅サービス過疎地域における訪問看護ステーションの一元管理

評価のポイント

高齢化率上昇や就業人口減少という過疎地域における課題に対応するため、ICTの利活用を通じて訪問看護提供体制の維持を目指す取り組み。経営維持のため、根室市の訪問看護事業所をサテライト化し、人件費を削減(年間722万円3,000円の削減)。その後、業務上の課題を洗い出し、労務管理や請求書業務を釧路市の事業所で一元化するとともに、看護記録はノートパソコンやスマートフォンで行うことで月平均の時間外勤務時間の削減を達成した(14.1時間→9.6時間)。また、記録業務の時間短縮により、1日あたりの訪問件数も増加。さらに、管理者が事業所(釧路市)にいながら、テレビ通話などを活用して、136km離れた現地(根室市)にいる訪問看護師へ指示を伝えることで、在宅看取りを行うことができたなど、過疎地域が抱える課題をICTの利活用により対応している点が評価された。

特別賞
施設名

稲沢市民病院(愛知県)

タイトル

新型コロナ感染症発熱外来におけるWeb問診による
看護師の職業感染予防と業務負担軽減への取り組みの成果

評価のポイント

発熱外来における問診をWeb(オンライン)上で行うことで、問診にかかる時間と患者との接触機会を減らすことを目指す取り組み。これまでは、専用の駐車場や待合室で、看護師が発熱患者に紙の問診票を手渡して問診票をスキャンし医師の診察を受けていた。発熱患者との接触時間を減らし、感染拡大を防止するため、問診をWeb 上で行うこととした。Webで一元化したことで、看護師が問診後に行っていた事務業務を事務局へ移譲することができ、患者1人当たりの受け付けから診察終了までにかかる時間を約19分短縮した。また、Web上で問診が完結するため、発熱患者の待ち時間も減少したことで身体的安楽をもたらすことができるようになった。さらに、Web上での問診を導入することで職員の感染防止にも寄与している。AI・ICTの活用により、問診による重要性を維持しつつ、課題解決につながった点が評価された。

施設名

公益財団法人東京都保健医療公社東部地域病院(東京都)

タイトル

看護部働き方改革プロジェクト:「繁忙度表」を活用した「看護師長の病床・業務調整会」による人員の采配と応援体制づくり

評価のポイント

病棟の業務状況を数値化(点数化)した「繁忙度表」を作成し、各部署の繁忙状況を可視化できるようにし、繁忙度に応じた応援体制の確立を目指す取り組み。各部署の繁忙度が可視化されることで、適切な人員配置が可能となり、時間外勤務の削減を達成(2019年度:9,229時間→2020年度:5,420時間)。取り組み当初は部署間で応援を依頼していたが、取り組みが進むにつれて繫忙度が低い病棟から「応援出します」と自発的な発言が出るようになった。人員を送り合う助け合いの精神が高まり、それまで部署間で差があった年休消化率が減少してきている。繁忙度合いを可視化する点がユニークで、また数値化の際の点数を適宜見直すなどバージョンアップを重ねている点が評価された。